パソコンを起動した際、突然「BitLocker回復キーを入力してください」という画面が表示されたことはありませんか?
さらに厄介なことに、キーボードを押しても文字が入力できない、または回復キーを入力しても認識されず困ったことはありませんか?
このような状況は非常に焦りますが、適切な対処法を知っていれば解決できる場合が多いです。
そこで、本記事ではBitLocker回復キーが入力できない原因と、その解決方法を6つご紹介します。
データを守りながら安全にパソコンを復旧させるための手順を詳しく解説していきます。
また、BitLockerはセキュリティの面である程度は有効ではありますが、回復キーの紛失、ローカル管理者権限を有するユーザが暗号化を解除できる、一度使用したBitLocker回復キーが再度利用できる、時間をかければ不正にログインできてしまうことがある、など注意点もあります。
このようなセキュリティ面や運用面でのデメリットを解消するためにはBitLockerで暗号化したPCを「SecureDoc」で管理することをオススメします。
詳細は下記をご覧ください。
BitLocker暗号の運用上の問題をSecureDocで解決する
BitLockerとは?基本的な仕組みと役割
BitLockerは、Windowsに搭載されているディスク暗号化機能で、ハードディスクやSSDなどのストレージに保存されているデータを暗号化することで、パソコンの紛失や盗難時にデータが第三者に読み取られることを防ぎます。
BitLockerはTPM(Trusted Platform Module)というセキュリティチップを利用して暗号化を行います。
このチップによって、正規のシステム環境でのみデータにアクセスできるようになっています。
優秀なセキュリティではあるのですが、ハードウェアの変更やシステムの更新、またはセキュリティ上の懸念がある場合、BitLockerは保護モードに入り、48桁の回復キーの入力を要求され、これを正しく入力することでシステムにアクセスができるようになります。
しかし、回復キーの入力を求められているにも関わらず入力ができないケースがあります。
以下では回復キーが入力できない原因を解説していきます。
BitLocker回復キーが入力できない主な原因と対策
BitLocker回復キーの入力ができない原因はいくつか考えられます。
原因を理解することで、適切に対処ができますので覚えておくようにしましょう。
1.キーボードの認識問題
起動時の環境(プリブート環境)では、通常のWindows環境と異なり、一部のキーボードが正しく認識されないことがあります。
特にワイヤレスキーボードやBluetoothキーボードは、この段階でドライバが読み込まれていないため使用できない場合があります。
対処法:有線USBキーボードを接続する
最も確実な方法は、有線のUSBキーボードを接続することです。
プリブート環境でも認識されやすい有線キーボードを使用することで、入力の問題が解決することが多いです。
手順
1.パソコンの電源を一旦切ります
2.有線USBキーボードを接続します
3.パソコンを再起動し。BitLocker回復画面で回復キーを入力してみます。
有線キーボードがない場合は、一時的に借りるか購入することを検討してください。
これはキーボードが反応しない時の最も確実な解決策の一つです。
2.言語設定とキーボードレイアウトの不一致
BitLockerの回復画面では、キーボードレイアウトがUS配列になっていることがあります。
日本語キーボードを使用している場合、キーの配置が異なるため、入力した文字が意図したものと違って表示されることがあり、正しく回復キーが入力できない恐れがあります。
対処法:キーボードレイアウトを確認する
BitLockerの回復画面では、キーボードレイアウトが表示されていることがあります。
「US」や「JP」などの表記を確認しましょう。
US配列と日本語配列の主な違い
– 「@」キー: 日本語配列では「Shift + 2」、US配列では「Shift + 2」または単独キー
– 「-」キー: 配置が異なる場合がある
– 「_」キー: 日本語配列では「Shift + ろ」、US配列では「Shift + –」
画面に表示されているキーボードレイアウトに合わせて入力を試みてください。
3.回復キーとIDの混同
多くの方が陥る落とし穴として、「回復キーID」と「回復キー」を混同するケースがあります。
回復キー入力画面には「回復キーID」が表示されることがありますが、これは入力すべき回復キーではなく、回復キーを識別するためのIDです。
対処法:回復キーとIDの違いを理解する
「回復キーID」と「回復キー」は別のものです。
回復キーIDは回復キーを識別するためのもので、実際に入力するのは48桁の数字の回復キーです。
回復キーの特徴
– 48桁の数字(6桁の数字が8グループ)
– 例: 123456-789012-345678-901234-567890-123456-789012-345678
回復キー画面には「(キーを識別する)回復キーID: XXXXX-XXXX-…」という表示があることがありますが、これは入力するものではありません。
別の手段で取得した48桁の回復キーを入力する必要があります。
4.テンキーの無効化
ノートパソコンのテンキー機能(Numロック)が無効になっていると、数字が入力できないことがあります。
対処法:テンキー設定を確認する
手順
1.NumLockキーを押して、テンキー機能を有効/無効に切り替えてみる
2.機能キー(Fnキー)と組み合わせて使うノートパソコンもあるので、Fn + NumLockを試してみる
テンキーではなく、キーボード上部の数字キーを使用することも解決策になります。
5.上書きモードの有効化
上書きモード(Insertキーで切り替え)が有効になっていると、入力した文字が既存の文字を上書きしてしまい、正しく入力できないことがあります。
対処法:上書きモードを確認する
下記手順で上書きモードの確認をしましょう。
手順
1.Insertキー(Insキー)を押して、上書きモードを解除する
2.カーソルの形状が変わるかどうかを確認する(上書きモード時は四角いブロック状、通常は縦線)
6.システム障害
システムの障害やエラーなどにより、BitLockerが予期せず回復モードに入ることもあります。
対処法:システムの再起動を試みる
単純な一時的な不具合の場合、システムを再起動することで解決することがあります。
手順
1.パソコンの電源ボタンを長押しして強制終了する
2.数秒待ってから再度電源を入れる
3.再起動後、問題が解決しているか確認する
ただし、強制終了はデータ損失のリスクがあるため、先述した1~5までの対処法を試したうえで解決ができない場合に検討するようにしましょう。
あくまで最終手段であるとの認識が必要です。
回復キーが見つからない場合の対処法
どうしても回復キーが見つからない、または回復キーを入力しても認識されない場合は、以下の対処法を検討してください。
回復キーの確認方法は下記記事でもご紹介しております。
BitLocker回復キーとは?確認方法やどんな時に必要なのかご紹介
専門家に相談する
PCメーカーのサポートセンターやIT専門店に相談することで、専門的な対応が期待できます。
データ復旧サービスの利用
重要なデータがあり、どうしても回復が必要な場合は、データ復旧専門のサービスを利用することも選択肢の一つです。
ただし、費用がかかる場合があります。
また、データ復旧サービスでも全てのデータを復元できるとは限りませんので、重要なデータの保存には細心の注意を払いましょう。
システムのリカバリ(最終手段)
うしても回復できない場合は、システムのリカバリを検討する必要があります。
これはすべてのデータが失われる可能性があるため、最後の手段として考えてください。
トラブルを防ぐための対策
BitLockerのトラブルを未然に防ぐために、以下の対策を講じることをお勧めします。
回復キーを複数の場所に保存する
回復キーを以下のような複数の場所に保存しておくことで、いざという時に備えることができます。
– Microsoftアカウントに紐づける
– 印刷して安全な場所に保管する
– USBメモリなどの外部メディアに保存する
– パスワード管理ツールに保存する(セキュリティに配慮したツールを使用)
ハードウェア変更前にBitLockerを一時停止する
PCのハードウェアを変更する予定がある場合は、事前にBitLockerを一時停止しておくことで、回復キー入力の画面が表示されるのを防げます。
手順
1.コントロールパネルを開く
2.「BitLockerドライブ暗号化」を選択
3.システムドライブの「BitLockerを一時停止する」をクリック
4.ハードウェア変更後に再度有効化する
定期的にシステムとドライバを更新する
システムやドライバを最新の状態に保つことで、不具合を減らし、セキュリティも向上します。
Windows Updateを定期的に実行しましょう。
Windows Updatesをインストールする – Microsoft サポート
WinMagicのセキュリティソリューション
BitLockerはWindows標準の便利な暗号化機能ですが、管理上の課題(突然の回復キー要求、回復キー管理の煩雑さなど)や、より高度なセキュリティ要件、マルチOS環境への対応といったニーズに応えるためには、専門的なソリューションの導入が有効です。
WinMagicは、これらの課題に対応するための包括的なセキュリティソリューションを提供しています。
BitLocker利用時に起こりうる回復キー関連のトラブルを未然に防ぎ、より堅牢なデータ保護を実現するために、以下のWinMagic製品の活用をお勧めします。
SecureDoc
SecureDocは、エンドポイントからクラウドまで、様々な環境におけるデータの暗号化とセキュリティ管理を統合的に行うプラットフォームで、下記のような特徴があります。
BitLockerのセキュリティ強化・集中管理
・SecureDocのプリブート認証(PBA)を使用することで、起動時のパスワードを既定回数間違った場合や、一定期間管理サーバと疎通確認が行われなかった場合に紛失盗難とみなしPCをロックします。
・SecureDocのプリブート認証(PBA)を使用することで、BitLocker回復キーの入力を求められることがなくなります。
・BitLockerで暗号化されたPCを一元管理し、各PCの暗号化状態の確認や、ユーザのパスワードのリセット、暗号化ポリシーの変更など管理サーバから実行することが可能になります。また、BitLocker回復キーの自動バックアップ、集中管理が可能になり、管理者の負担を軽減し、回復キーを紛失するリスクがなくなります。
広範なプラットフォーム対応
Windows (BitLocker含む)、macOS (FileVault含む)、Linux、仮想サーバー(VMware, Hyper-Vなど)、リムーバブルメディア(USBメモリなど)、TCG OPAL規格に準拠した自己暗号化ドライブ(SED)など、多様なプラットフォームとデバイスの暗号化を一貫したポリシーで管理します。
MagicEndpointに関しての詳細はこちらをご覧ください
まとめ
BitLocker回復キーが入力できない問題は、適切な対処法を知ることで解決できる場合が多いです。
本記事でご紹介した6つの対処法を順に試していただくことで、多くの場合問題が解決するでしょう。
セキュリティと利便性のバランスを考慮し、自分に合ったソリューションを選びましょう。高度なセキュリティが必要な場合は、WinMagicのようなセキュリティ専門企業のソリューションも検討する価値があります。
データセキュリティはますます重要になっています。
適切な予防策と対処法を知ることで、貴重なデータを守り、安心してパソコンを使い続けることができます。