今回の記事では、従来のパスワード認証に代わる新しい認証方式として注目されているFIDO2について解説します。
FIDO2は生体認証やUSBキーなどの物理キーを用いることで、より安全かつ利便性の高い認証を実現します。
本記事では、FIDO2の仕組みや導入メリットに加え、デメリットや対応サービスについても詳しく解説します。
セキュリティ強化と利便性向上を実現するFIDO2の導入を検討する上で役立つ情報を提供しますので、ぜひ最後までご覧ください。
FIDOに関しては下記の記事でも解説しておりますので、是非ご覧ください。
FIDO認証とは?従来のパスワードと何が違うか分かりやすく解説
FIDO2とは?仕組みと導入メリットを解説
パスワードに代わる認証方式として注目を集めているFIDOは、従来のパスワード認証が抱える情報漏洩のリスクや覚えにくさ、セキュリティ対策の負担といった問題点を克服するために生まれた技術です。
FIDO2は、FIDOアライアンスが策定した、より安全で使いやすい認証方式の規格であり、生体認証やセキュリティキーといったハードウェアを活用することで、パスワードに頼らず安全なログインを実現します。
FIDO2が登場した背景には、パスワード認証の課題と、より安全で使いやすい認証方式に対する需要の高まりがあります。
パスワード認証は、情報漏洩のリスク、覚えにくさ、セキュリティ対策の負担といった問題点を抱えており、これらの課題を克服するために、より安全で使いやすい認証方式の必要性が高まっていました。
そんな中FIDO2は、パスワード不要、安全性、使いやすさといった特徴を備えた認証方式で、生体認証やセキュリティキーといったハードウェアを用いることで、ユーザはパスワードを覚える必要なく、安全にデバイスにログインできます。
FIDO2は、生体認証やセキュリティキーといったハードウェアを用いて、ユーザの認証を行います。
ユーザは生体認証やセキュリティキーを使用してデバイスにログインし、デバイスはユーザの認証情報を使って認証サーバにアクセスします。認証サーバは、ユーザの認証情報を検証し、ログインを許可します。この仕組みにより、パスワードを介さずに安全なログインが実現します。
FIDO2には、セキュリティの向上、ユーザエクスペリエンスの向上、コスト削減といったメリットがあります。
パスワード漏洩のリスクを大幅に軽減し、ユーザは複雑なパスワードを覚える必要がないため、使いやすさが向上します。
また、パスワードリセットなどのサポートコストを削減できます。
FIDO2は、Google、Microsoft、Facebookなど、多くの企業やサービスで導入されています。
GoogleアカウントではFIDO2に対応したセキュリティキーを使用できます。
MicrosoftアカウントではFIDO2に対応した生体認証を使用できます。
FacebookアカウントではFIDO2に対応したセキュリティキーを使用できます。
FIDO2は、今後ますます普及すると予想されています。
FIDO Allianceは、FIDO2の標準化を進め、より多くの企業やサービスで導入されることを目指しています。
FIDO2は、パスワード認証の課題を解決し、より安全で使いやすい認証方式を提供する技術であり、私たちのデジタルライフをより安全なものにしていくでしょう。
そもそもFIDOとは?認証方式の進化
FIDOとは、「Fast IDentity Online」の略で、パスワードに代わる認証技術の開発と普及を目的とした国際的な業界団体です。
この団体が推進する認証技術を総称して「FIDO認証」と呼びます。
FIDO認証は、パスワード入力の代わりに生体認証やセキュリティキーなどの方法を用いることで、より安全かつ利便性の高い認証を実現します。
FIDO認証には、FIDO UAF、FIDO U2F、FIDO2など、複数の種類が存在します。
FIDO2は、FIDO U2Fをベースに、より高度なセキュリティ機能と柔軟性を備えた規格として、2019年に正式にリリースされました。
FIDO2は、Webブラウザやモバイルアプリなど、さまざまなプラットフォームで利用可能なため、今後ますます普及すると予想されています。
FIDO2の概要と特徴
FIDO2は、2018年にリリースされたFIDO認証の最新規格です。
従来のパスワードを用いた認証方式とは異なり、指紋認証、顔認証、虹彩認証などの生体認証をオンライン上で安全に利用することができます。
これにより、ユーザは専用のソフトウェアやハードウェアを必要とせず、オンラインサービスへのアクセスや決済を簡単かつ安全に行うことができます。
FIDO2登場の背景:セキュリティ強化へのニーズ
インターネットサービスの利用が拡大する現代において、IDとパスワードの使い回しが増加していることから、不正アクセスによる被害が深刻化しています。
なりすましによる偽サイトへの誘導などを通じて個人情報が盗難されるサイバー攻撃も増加しており、従来のパスワード認証ではセキュリティ対策が不十分になっています。
こうした課題を克服するため、FIDOはパスワードレス認証の普及を推進しており、その最新規格としてFIDO2が誕生しました。
FIDO2の仕組みと動作原理
FIDO2は、パスワードを使用せず、「秘密鍵」と「公開鍵」の組み合わせによって認証を行うセキュリティ規格です。
従来のパスワードベースの認証方式とは異なり、ユーザは個人のデバイスに保存された秘密鍵を使用して情報を暗号化し、事前に認証サーバに登録された公開鍵を使用して復号化することで認証を行います。
秘密鍵は、FIDO対応のスマートフォンやパソコンなどのデバイスに保管され、これらのデバイスは「認証器」と呼ばれます。
FIDO2認証は、次の手順で行われます。
- ユーザーが認証サーバにログインを要求します。
- 認証サーバはチャレンジコードをユーザのデバイスに返信します。
- ユーザは認証器に資格情報(生体情報など)を入力します。
- 認証器は、チャレンジコードを秘密鍵で暗号化し、認証サーバに送信します。
- 認証サーバは、公開鍵を使用してチャレンジコードを復号化し、検証を行います。
- 検証に成功すると、ユーザはログインできます。
FIDO2認証では、ユーザはパスワードの代わりに指紋認証、顔認証、PINコード、セキュリティトークンなどを使用できます。
そのため、従来のパスワードベースの認証よりも安全で、より使いやすい認証方式として注目されています。
FIDO2は、従来のFIDO UAF/U2Fの仕組みを拡張し、「WebAuthn」と「CTAP」という2つの規格を採用しています。
- WebAuthn
Webアプリケーションでパスワードレス認証を実現するための標準規格です。 - CTAP
Bluetooth、USB、NFCを介して認証器と情報のやり取りを行うための企画です。
これらの規格により、FIDO2はさまざまなアプリケーションでパスワードレス認証を実現することが可能になりました。
例えば、ユーザはログイン時にカメラに顔を向ける、指紋認証部分を触る、またはセキュリティキーを挿入するなどのアクションを実行するだけで、パスワードを入力することなく認証できます。
FIDO2導入によるメリットとデメリット
パスワードに代わる認証方式として注目されているFIDO2は、従来のパスワード認証が抱えていた漏洩や盗難のリスクを大幅に軽減する画期的な技術です。
生体認証やハードウェアキーといった高度な認証手段を採用することで、ユーザのセキュリティを強化し、より安全な認証を実現します。
FIDO2は、セキュリティの向上に加えて、ユーザの利便性も大幅に向上させます。
パスワードを記憶したり入力したりする手間が省けるため、スムーズな認証が可能です。
さらに、さまざまなデバイスに対応しているため、ユーザは場所を選ばずに安全な認証を利用できます。
- セキュリティの向上: パスワードの漏洩や盗難のリスクを大幅に低減できます。
- 利便性の向上: パスワードを覚えたり入力したりする必要がなく、スムーズな認証が可能です。
- 多様なデバイスへの対応: さまざまなデバイスで利用できます。
一方で、FIDO2には普及段階における課題も存在します。
- 対応するサービスが限られている: FIDO2に対応しているサービスはまだ限られています。
- デバイスの互換性: すべてのデバイスで利用できるわけではありません。
FIDO2は、セキュリティと利便性の両面において大きなメリットをもたらす技術ですが、普及を促進するためには、対応するサービスやデバイスの増加が不可欠です。
将来的には、より多くのサービスやデバイスがFIDO2に対応することで、安全で利便性の高い認証環境が実現すると期待されます。
セキュリティ強化と利便性向上:FIDO2のメリット
FIDO2が登場する以前は、スマートフォンを利用した認証規格「FIDO UAF」や、生体認証を利用した「FIDO U2F」が主流でした。
しかし、これらの規格は専用機器の購入が必要だったため、普及は限定的でした。
FIDO2は、専用機器なしで利用できることが大きな特徴です。
Google Chrome、Microsoft Edge、Safariなど主要ブラウザがFIDO2に対応済みであり、Windows、Android、macOS、iOS、iPadOSといった主要なOSもFIDO2に対応しています。
そのため、パソコンやスマートフォンなど、普段使っているデバイスで追加費用なしにFIDO2を利用した認証を利用できます。
FIDO2は、パスワードレス認証を実現するための技術です。
そのため、パスワードは不要で、スマートフォンやパソコンなどに組み込まれた生体認証機能を利用します。
パスワードレス化は、パスワードに関連する多くの課題を解決します。
パスワード盗難による不正アクセスやなりすましの防止だけでなく、パスワード管理の手間をなくすことで、使い回しによるリスクも回避できます。
セキュリティ強度の高いパスワードは複雑で覚えにくいため、認証の度に手間がかかる場合があります。
FIDO2によるパスワードレス化は、認証の手間を省き、業務をより快適かつ効率的に行うことを可能にします。
パスワードレス化は、フィッシング攻撃、中間者攻撃、リプレイ攻撃などのリスクも軽減します。
例えば、正規のログイン画面に見せかけた偽のページでログイン情報を入力してしまうフィッシング攻撃を回避できます。
FIDO2では、生体情報などの資格情報は認証サーバ側と共有されず、デバイス上で本人確認が完了します。
従来のパスワード認証では、認証サーバへのサイバー攻撃によってID/パスワードが盗まれてしまうリスクがありましたが、FIDO2ではそのようなリスクを回避できます。
認証サーバ側にはユーザの公開鍵のみが保存されており、公開鍵が盗まれたとしても不正アクセスはできません。
これは、通信内容を傍受して認証に必要な情報を盗む中間者攻撃やリプレイ攻撃への有効な対策となります。
導入時の課題:FIDO2のデメリット
FIDO2は高いセキュリティを備えた認証方式ですが、現時点では対応しているサービスが限られているため、普及が遅れているのが現状です。
しかし、2022年5月にApple、Google、Microsoftの3社がFIDOの機能拡張を発表しました。
この発表は、ユーザが所有するデバイスでパスワードを使わずに認証できる環境を構築することを目的としており、OSやブラウザに依存することなく、さまざまなアプリケーションやWebサイトへのログインを可能にする画期的な取り組みです。
これらの新機能は、近い将来各社のプラットフォームで順次利用可能となる予定です。
今後、より多くのサービスがFIDO2に対応することで、セキュリティが強化され、ユーザの利便性も向上すると期待されています。
FIDO2に対応しているサービス
オンラインサービスを利用する際に、従来はIDとパスワードによる認証が一般的でしたが、近年ではFIDO2認証が注目されています。
これは、パスワードを使わずに、生体認証などによりログインできるので、安全性を高め、利便性を向上させるためです。
FIDO2認証は、指紋認証、顔認証、または専用のセキュリティキーなど、生体情報やデバイスを用いてユーザを認証します。
そのため、従来のようにパスワードを覚える必要がなく、セキュリティリスクも低減できます。
例えば、Yahoo!JAPANは、メール、オークション、ショッピング、ウォレットなど、様々なサービスにおいてFIDO2認証に対応しています。
ユーザは、スマートフォンやパソコンに搭載された指紋認証機能や顔認証機能、または専用のセキュリティキーを用いることで、IDとパスワードを入力することなく、安全かつ簡単にログインできます。
これは、従来のパスワードベースの認証方法に比べて、ユーザにとってより便利で安全な方法と言えるでしょう。
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内閣府ホームページ
これまでの認証とFIDOの違い(PDF)