パスキーについて調べていると、「FIDO2」という言葉をあわせて目にすることがよくあります。
そのため、「パスキーとFIDO2は同じものなのか」「何が違うのか分かりにくい」と感じる方も少なくありません。
結論から言うと、パスキーとFIDO2は同じ言葉ではありません。
パスキーは、ユーザーがパスワードの代わりに使う認証情報です。
一方、FIDO2は、そのパスキーを含む認証を支える技術標準です。
本記事では、パスキーとFIDO2の違い、両者の関係、企業が導入時にどこを見ればよいのかを、分かりやすく解説します。

パスキーとFIDO2はなぜ混同されやすいのか
パスキーとFIDO2が混同されやすいのは、どちらもパスワードレス認証の文脈で語られることが多いからです。
たとえば、サービス紹介では「パスキー対応」「FIDO2対応」「パスワードレス認証対応」が近い意味で並んで見えることがあります。
そのため、同じものの言い換えのように感じやすいのですが、実際には役割が異なります。
分かりやすく言うと、
- パスキー:ユーザーが実際に使う認証情報
- FIDO2:その認証を成立させるための技術標準
という関係です。
この整理ができると、製品比較や導入判断をするときにも混乱しにくくなります。
パスキーとは何か
パスキーとは、パスワードの代わりに使える認証情報です。
ユーザーは、端末の指紋認証、顔認証、PINなど、普段その端末をロック解除するときに使う方法でログインできます。
文字列のパスワードを毎回入力しなくてもよいため、利用者にとっては操作が分かりやすく、企業にとってはパスワード忘れやリセット対応の負担を減らしやすいのが特長です。
また、パスキーは公開鍵暗号方式を利用した認証情報でもあります。
サービス側には公開鍵が紐づけられ、端末側には秘密鍵が保持されます。
この仕組みにより、従来のように「覚えた文字列を入力して認証する」方式とは異なる考え方で本人確認を行います。
さらに、パスキーには、複数デバイス間で安全に同期されるものと、特定デバイスに紐づいて利用されるものがあります。
この違いは、企業で導入する際の運用設計にも関わります。たとえば、機種変更時の引き継ぎ、会社支給端末での利用、共有端末への対応などは、事前に考えておく必要があります。
パスキーの基礎から確認したい方は、先に
パスキーとは?仕組みを分かりやすく解説|パスワードレス認証との違いも紹介
をご覧ください。

FIDO2とは何か
FIDO2とは、パスワードに依存しない認証を実現するための技術標準群です。
一般的には、WebブラウザやWebサービス側で公開鍵認証を扱うためのWebAuthnと、認証器と端末のやり取りを定義するCTAPを中心に理解されます。
つまり、FIDO2は「ユーザーが何を使うか」というよりも、その認証がどのようなルールで安全に動くかを支える側の仕組みです。
このため、「FIDO2対応」という言葉は、単に新しい認証方式を指しているのではなく、ブラウザ、OS、認証器、サービス側の実装が、一定の標準に沿っていることを意味します。
企業導入では、この「標準に沿っているか」が非常に重要です。
なぜなら、実際の運用では、SaaS、IdP、SSO、Windowsログイン、既存の認証基盤など、複数の要素が関係するからです。
FIDO2そのものの基礎や導入背景を詳しく見たい方は、
企業がFIDO2を導入すべき理由とは?
もあわせてご覧ください。
パスキーとFIDO2の違い
パスキーとFIDO2の違いをひと言で表すと、パスキーは「使うもの」、FIDO2は「支える標準」です。
パスキーは利用者に近い言葉です。
「パスワードの代わりに何を使うのか」「どうやってログインするのか」といった文脈で使われます。
一方、FIDO2は技術・実装に近い言葉です。
「どの標準に基づいて認証を実装しているのか」「どこまで対応しているのか」といった観点で重要になります。
そのため、両者は対立する概念ではありません。
「パスキーとFIDO2のどちらが良いか」と比較するものではなく、FIDO2という標準に基づいて、パスキーをどう企業運用へ落とし込むかを考えるのが実務的です。
この整理ができると、「パスキー対応」という言葉だけで判断せず、その裏側にある標準や対応範囲まで見るべきだという点も理解しやすくなります。
企業はパスキーとFIDO2のどちらを重視すべきか
企業が利用者向けに説明するときは、まずパスキーの理解が重要です。
利用者が知りたいのは、「何を覚えなくてよくなるのか」「なぜ入力しなくてよくなるのか」「どうしてフィッシングに強いのか」といった点だからです。
この段階では、FIDO2という言葉より、パスキーという言葉のほうが伝わりやすい場面が多くあります。
一方で、企業が導入判断をするときには、FIDO2まで含めて確認することが重要です。
たとえば、次のような点は、パスキーという言葉だけでは判断できません。
- どのブラウザ・OS・認証器に対応しているか
- 既存のIdPやSSOと連携できるか
- Windowsログインや端末認証と整合するか
- 復旧フローや例外ユーザー対応まで設計できるか
つまり、利用者向けにはパスキー、導入判断ではFIDO2対応範囲まで確認するという考え方が、企業実務では重要です。

企業導入で確認したいポイント
1. 対応ブラウザ・OS・認証器
まず確認したいのが、利用環境との相性です。
パスキーやFIDO2は広く普及が進んでいますが、実際の運用では、社内で使っているブラウザ、OS、認証器、端末構成との整合が欠かせません。
2. IdP・SSOとの連携
企業の認証は、単独のログイン画面だけで完結しないことがほとんどです。
SaaS、社内システム、ポータル、Windowsログインなど、複数の認証経路があるため、IdPやSSOとの連携設計が重要になります。
この点は、
シングルサインオン(SSO)とは?仕組みやメリットをご紹介や、FIDO2&多要素認証(MFA)実装ガイド
とあわせて読むと、全体像がつかみやすくなります。
3. 復旧フローと例外ユーザー対応
端末紛失、故障、機種変更時にどう再登録するか。
生体認証を使いにくいユーザーや、共有端末を使うユーザーにどう対応するか。
こうした点が決まっていないと、導入後に問い合わせや運用負荷が増えやすくなります。
認証方式そのものより、導入後の運用設計が成否を左右することは、パスワードレス認証の導入判断と設計でも詳しく解説しています。
企業はどのようにパスキーやFIDO2を活用すべき?
企業でパスキーやFIDO2を活用する場合、単に新しいログイン方法を追加するだけでは不十分です。
端末認証、Windowsログイン、SaaS利用、SSO、例外ユーザー対応、復旧フローまで含めて、一貫した認証体験として設計する必要があります。
WinMagicでは、こうした企業向けの認証運用を支援するソリューションとして、MagicEndpointを提供しています。
MagicEndpointは、企業内でパスワードレス認証を利用できるようにするソリューションであり、複数のMFAデバイスに対応しています。さらに、WinMagicでは、暗号化ソリューションであるSecureDocと組み合わせた認証設計も可能です。
PC起動時認証からWindowsログイン、さらにSAMLを利用したリモートサービス接続までを含めて設計したい場合は、個別の認証方式だけでなく、認証基盤全体を見据えた検討が重要になります。
関連リンク
まとめ
パスキーとFIDO2は、似た文脈で語られますが、意味は同じではありません。
パスキーは、ユーザーがパスワードの代わりに使う認証情報です。
一方、FIDO2は、そのパスキーを含む認証を支える技術標準です。
そのため、企業で認証強化を進める際は、「パスキー対応」という言葉だけで判断するのではなく、FIDO2対応範囲、既存基盤との連携、復旧や例外対応まで含めて設計することが重要です。
パスキーやFIDO2を含む認証強化を、企業としてどのように進めるべきかを詳しく知りたい方は、お気軽にご相談ください。